母の決断

今月に入ってから、実はナツの生活に大きな変化がありました。
幼稚園をやめ、保育園に移ったのです。
これは前々から考えていたことではあったのですが、生活を変えるのに踏ん切りがつかず、このままでいいのかなと思いながら日々過ごしていました。
そんな時、区の療育センターで、心理の先生との面接があり、療育方法についても悩んでいたので、今後どうして行けばよいかということを相談してみました。

心理の先生は年配のベテラン先生で、ナツを見る目は非常に的確で、とても信頼できました。
ナツは外からの働きかけに、心では受け止めているのだが、それに反応して返す、アウトプットの力が弱いのだと指摘されました。
私が普段なんとなく感じていることを、はっきりと言葉にして示してくださり、深く納得することが出来ました。

そして今この子に必要なのは、言葉を覚えさせたり数を数えさせることではなく、生活スキルを身に付けさせることだと言われました。
トイレ、着替え、食事などナツはだいぶ一人でできるようにはなったものの、まだ完璧ではありません。
しかしこれらは、生きていくうえで、一番基本となるものです。
どんな療育をしても、この基本をおろそかにしていては意味がないという先生のお言葉は、確かにそうだと頷けました。
これは今この時期にきちんと身に付けるべきもので、自分の身の回りのことが自分で全てきちんとできるようになると、それが今後大きな力になるということでした。
それがひいては、自分で判断して動ける子になるそうです。

ナツは今、私が保育園に連れて行くから行く、着替えをしなさいと言われるからイヤイヤ着替える、ご飯が用意され、椅子に座ってと言われるから食べる、という感じです。
自分で考え、自分の身の回りのことはすべて自分で処理できる、そういう子になって欲しいというのが私の第一の希望でもあります。
それに最適な場所が保育園だというのです。
保育園は幼稚園と違い生活の場です。
長時間、集団で生活し、その中で自然着替えやトイレ、食事の回数は増えます。
何度も何度も経験をつむことが大事です。
その上周りのお子さんが、よいお手本になってくれると思います。

例えばトイレ。
幼稚園ではみんなトイレの中で、下着を上げ下げし、身だしなみを整えて出てきます。
ナツはまだそれが出来ません。トイレの前でズボンとパンツを脱ぎ、また外で履きます。時には履くのを渋って、逃げ出したりしてしまいます・・・。
幼稚園ではみんなすでに出来ることですので、ナツのためにその時間を割くというのは難しいです。
どうしても経験数が減ってしまいます。

その上、お昼寝時間があるというのが魅力でした。
ナツはまだ昼寝を必要とします。
幼稚園に通っているとどうしても昼寝の時間が遅くなり、生活リズムがなかなか整いませんでした。
早い時間にきちんと昼寝の時間があることは、生活リズムを作るのにとてもよいと思いました。

しかし幼稚園でも、いろいろとナツのために考え下さり、気を配っていただきました。ナツは嫌がることなく通い、ナツのことを可愛がってくれるお友達も何人か出来ました。
このまま幼稚園に通っていても、大きな問題があるわけではなかったのです。
だからこそ、なかなか踏ん切りがつかず、このままでいいのかと思いながら過ごしてきました。
そんなときの心理の先生のお話だったので、思い切り背中を押された気持ちになりました。
このまま通っていても大きな問題はないが、大きな変化も期待できないかもしれない。そう感じました。
どの道をとるのが一番正しいのか、すぐに答えが出るものではないので、ものすごく難しい問題です。
正直言って、保育園を選んだことが一番正しいのか、それは未だに分りません。多分誰にもこれが一番正しいとは断言できないでしょう。
だからよくよく考えて、これが一番良いのではないかという道をとるしかありません。
今は小学校までの重要な時期、保育園で生活するのが一番伸びるのではないかと思い、それを信じて転園を決めました。

ナツの通っていた幼稚園がモンテッソーリ教育を取り入れていたことも、実は懸念の1つでした。
モンテッソーリ教育については、私も何冊か本を読み、園長先生がお話してくださる講習会にも何度か出席して勉強しました。
自主性を養うとてもいい教育だと思います。
みんな好きなことを選び、生き生きと活動しています。
自立したお子さんになるというそのとおりで、みんなとてもしっかりしています。
先生方も非常に熱心で、じっくりと子供を見てくれています。

しかしそこでは、自分で考え行動しなければならない場面が多くあります。
ナツにはそれは荷が重過ぎました。
まだその段階に達していないので、何をしていいやら分らず、その中で伸び伸びと過ごすのは難しかったです。
ナツは年少さんで、その中でも一番行動が遅れてしまいます。
それもきついのではないかと思いました。
年下のお子さんがたくさんいる保育園ならば気も楽で、楽しく過ごせるのではないかと思ったのも1つでした。

かくして母は決断しました。
お世話になった幼稚園には申し訳ない気持ちでいっぱいでしたが、やはり幼稚園で完璧に対応するのは難しいので、保育園のほうがよいかもしれませんねということで、円満に辞することが出来ました。
幼稚園最後の日は、お昼に迎えに行くと、ナツが帰ると察した子供たちがあちこちから集まってきてくれて、「なっちゃん元気でね」「また遊ぼうね」と口々に声を掛けてくれました。
みんな後から後からやって来て、私とナツを中心におしくらまんじゅうのようになって、ナツはみんなに頭を撫でられてくしゃくしゃになっていました。
たった半年間だったけど、こんなにたくさんのつながりが出来ていたんだなぁと感激してしまいました。
ナツはみんなの勢いにびっくりした様子でしたが、もみくちゃにされても泣くことなく、神妙な面持ちでみんなの挨拶を受けていました。

保育園については、区役所の保育科に赴き、詳しい説明を受け、ついでに障害のある子を積極的に受け入れているところがあれば教えて欲しいとお願いしたところ、家から通える範囲にある保育園を教えてもらいました。
見学にはここを含め、7園行きました。
小規模でこじんまりした園、大きくてにぎやかな園、園によって雰囲気は様々で、やはり見学に行くことは大事だなと思いました。
見て回った雰囲気で、ここがいいなぁと感じる園があると思います。
結局保育園は区役所で教えてもらったところに決めました。
どこの園も、障害児受入れ可にはなっていますが、正直なところ、歓迎という雰囲気ではありませんでした(歓迎というのはもちろん難しいのでしょうけど・・・)。

保育園で成長して欲しいと移ることに決めたのですから、やはり快く受け入れてくれる園がベストです。
区役所で教えてもらった園は、もう50年以上前に全国で初めて障害児の受け入れを開始したという筋金入りの園で、現在も十数人のお子さんがいらっしゃします。
園長先生も、障害児教育について経験豊富で、知識もあり、見学の際はナツの様子を見ながら長い時間を掛けてじっくりと話を聞いてくださいました。
どんなお子さんも変わらず伸び伸び育てるという方針で、ナツのことも受け入れてくれ、一緒に頑張りましょうと激励してくださいました。
いつもどこか遠慮がちで生活していましたが、ここでは歓迎しますよと両手を広げられた気がして、感動してしまいました。

まずはナツの様子を見たいということで、1日2時間、私が付き添う母子登園という形で保育園生活がスタートしました。
慣れていけば徐々に時間を長くし、私の付き添いもなくなる予定です。
しばらくは親子で楽しく通いたいと思います。

保育園入園には、仕事をしていることが条件になります。
今は求職中で申請していますが、仕事を探さなければなりません。
ナツのことがあるので、フルタイムは難しいのです。
仕事のほうもいいご縁があるといいなと思います。

by mineyom | 2006-10-09 23:03 | 保育園