中学校問題 その10 日本に帰るという選択

第一希望のスペシャルニーズのインターナショナルスクールに進学することをやめたことで、ナツの進学先の選択肢は、この学校よりもリーズナブルな学校を探すか、日本で母子で帰るかの2つとなりました。

しかし日本に戻るという選択は、最初からあまり考えてませんでした。

この一年、新しい環境、新しい生活に慣れるために全力疾走してきて、ようやくこの生活に慣れて楽しめるようになってきていたところで、出来ればあと1年くらいは、この生活を維持させたいと思いました。

この時すでに、卒業式を間近に控えた2月の終わり。
ちょっと一息つかせてほしい、これからすぐに、1年前に大変な思いをした海外引っ越しを一人でやりとげ、再び新しい生活を始めるなんて無理。
せめてもうちょっと猶予をちょうだい~!という気分でした。

それでも一応、日本の以前住んでいた地域の、教育委員会にも問い合わせてみました。
今からでも4月の入学に間に合いますか?と。
そうしたら、今からでも4月の入学に何とか間に合いますよ。地域の支援学級でも、支援学校でも、基本的にいつでも受け付けますとのお返事でした。

生徒の数によって、先生の配置などが関わってくるから、ギリギリでは難しいだろうと思っていたので、ちょっと驚きました。
春の帰国が時間的に大変でしたら、夏に戻られて、2学期から編入という形でも大丈夫ですよ、と言われました。

この教育委員会の担当者さんは、とても親切でありがたかったです。
この時点で日本に戻るかは決めかねましたが、タイで万策尽きても、最悪日本に戻れるという安心感は得られました。

日本人学校の担任の先生たちは、中学部に進学は叶わず、インターナショナルスクールも諸々の事情で諦めた時点で、日本への帰国を即選ばなかったことに、少なからず驚いたようです。
卒業間際の個人面談で、まだ進学先が決まってないんですよね~と言ったら、軽く引かれたのを感じました。

はっきり言われはしませんでしたが、日本に帰らないんですか!?という雰囲気は、ビシバシ伝わってきました。
なっちゃんにとっては、日本で教育を受けるのが一番だと思いますということでした。
この1年、ナツにじっくり関わってくれた先生が言うことだから、やはりそうした方がいいのかと心は揺れました。

それはもちろん、日本語で教育してもらった方が、英語やタイ語環境よりも楽だとは思います。
しかし、それはつまり家族一緒に暮らせないということです。
我が家にとって、ナツの教育は、それはもちろん大事なことだけど、学校教育が第一かというと、それはどうかなと思いました。

小学校6年間、ナツは日本の学校に通ってましたが、正直学習面はそれほど伸びていません。
知的重度なので、本当に進みはゆっくりで、学校に行ったからこれだけのものが習得できたという実感はあまりありません。

ナツはゆっくりゆっくり一生かけて学習していくと思っているので、ここで1、2年日本の学校教育から離れても、人生においてそれほど大きな問題にはならないと思いました。

引き続き、家庭と公文で読み書きと数の勉強は続けていくし、何よりナツの場合、学習面よりも人とのコミュニケーションや自己主張出来るようになることを、学校に求めているので、それならば日本の学校でなくてもいいと思いました。
逆に母国語でない環境でそれを身につけられたら、ある意味すごいよね。

そして何よりも我が家は今、タイにいるのです。
日本に帰るのはいつでもできるから、ここでそんなに慌てて帰らなくても、ここでしか出来ない経験をたくさんするのも、家族で思い出をたくさん作るのも貴重じゃないかと思いました。
夫の駐在期間はまだまだ長いので、ここで日本に帰ると何年も離れることになってしまいます。

日本に戻った方が・・・というプレッシャーを掛けられれば掛けられるほど、日本で教育を受けるのって、そこまでいいかなぁと思ってしまいました。
大真面目な先生には言えませんでしたが、あと1年くらい、家族でタイで遊んでちゃダメですか?という気持ちでした。

遊ぶというのは言葉は悪いですが、異文化体験をしたり、多言語の中に身をおいたりということが自然にできて、何よりも家族で楽しく暮らすということがナツにとって重要であると思いました。

それはタイという国と人が気に入って、ナツにも合っていると感じているせいもあるかもしれません。

やはり海外に住むということは、望むものをすべて手に入れることはできません。
だからこそ、家族にとって何を優先させるべきかを考え、最善の道を選んで行くことが大事だと思います。

方向転換はいつでも出来るしね。
臨機応変に、これからも道を模索していきたいと思います。

by mineyom | 2015-04-09 11:25 | タイ生活 就学(中学校)